この論文は、中等症以下のCOVID-19回復後の若い女性を対象に、遠隔リハビリテーションプログラムの効果を検証した無作為化比較試験の結果を報告しています。6週間、週3回、スマートフォンを用いた遠隔リハビリプログラム(呼吸運動、有酸素運動、レジスタンス運動を含む)が、運動能力(6分間歩行テスト)と生活の質(SF-36)を有意に向上させる一方、肺機能(FVC、FEV1)への影響は認められなかったことを示しています。この研究は、COVID-19後遺症の改善に遠隔リハビリテーションが有効である可能性を示唆するものです。
プログラムの内容
呼吸エクササイズと胸郭拡張:横隔膜呼吸エクササイズなど、胸壁筋の強化と胸郭の可動性を高めることを目的とした活動を15分間行います。
有酸素運動:自宅周辺での速歩やランニング、またはトレッドミル(利用可能な場合)を使用し、3分間のウォーミングアップと3分間のクールダウンを伴い、20〜30分間行います。目標心拍数は、最大心拍数の60〜80%で、カルボーネン法を用いて算出されました。運動中は、患者自身でボルグスケールを報告し、心拍数を自己管理しました。
レジスタンス運動:個々の評価に基づいて、30分間、ウェイトを用いたレジスタンス運動を行います。10回反復最大値(10RM)を用いて、各筋肉群の最適な負荷を決定し、デローム法を用いてトレーニングを実施しました。背筋、腹筋、肩(屈筋、伸筋、外転筋)、肘、股関節、膝(屈筋、伸筋)などの主要な筋肉群を鍛え、各筋肉群に対して10回反復の3セットを行い、セット間に60秒の休憩を挟みました。負荷は徐々に増加されました。
モニタリング: 呼吸数、心拍数、酸素飽和度(SpO2)、ボルグスケールを各セッションで監視し、安全を確保しました。SpO2が4%低下した場合、または95%を下回った場合、あるいはボルグスケールが初期値から3ポイント増加した場合は、セッションを中断しました。その他、心拍数が毎分20回増加した場合、めまい、発汗、頭痛、胸部の圧迫感もセッション中断の理由とされました。